石垣島から所想所説、徒然なるままに

沖縄・石垣島の話題を中心に、石垣島から見えること、思うことを徒然に。好きな映画のレビューや、自分が難儀しているアトピーの話題なんかも。

オススメ記事

『プロミシング・ヤング・ウーマン』(Promising Young Woman)2020年 アメリカ

主演のキャリー・マリガンが好きだ。たぶんライアン・ゴズリング主演の「ドライヴ」で初めて知ったと思うんだけど、Doctor Whoにも若いときに出ているのを見つけて「ほんとかわいいなぁ」と。この作品では、ストーリー的に必要なので様々なファッションを披…

【博恩夜夜秀】總統來了!史上第一個得到蔡英文浪漫喊話畫面的媒體

台湾の現総統・蔡英文が超人気のYouTuber、トークショー芸人(スタンドアップコメディアン)の曾博恩の番組に登場。2019年の4月だから、2020年1月の台湾総統選挙の前に若者向けにアピールするために出演したわけだ。 曾博恩のこの番組はアメリカの「ザ・デイ…

牡丹社事件 マブイの行方ー日本と台湾、それぞれの和解  2019/5/20 平野久美子

ノンフィクションに、こういう形があるんだなぁ、と。 ノンフィクションというとどうしても比較的最近の事件とか、まだ決着をみていないちょっと前の事件とかを題材にすることが多いと思う。どこどこで起こった殺人事件とかほとんど報道されなかった裁判の話…

小説 琉球処分(上) (講談社文庫) 文庫 – 2010/8/12 大城 立裕 (著)

時代を経てもなお、名著! 自分が沖縄に(石垣島)に来た若い頃に読んだと思うのだけど、思い立って再読。もし読んでいたらこんな名著を忘れていたのが驚きだし、初見だとするとなぜに今まで読んでなかったのかなと思う。読んだことがあると思うんだけどなぁ…

アクト・オブ・キリング (原題:The Act of Killing)2012年 イギリス・デンマーク・ノルウェー

インドネシア、1965年9月30日。共産党の支持により国軍の一部がクーデターを起こす。クーデターは陸軍のスハルト少将により鎮圧されるが、結果的に時の大統領・スカルノは失脚。その後、スハルト少将ら右派勢力による「インドネシア共産党員狩り」と称した大…

One Child Nation 2019年アメリカ

監督は王男栿という中国出身の女性。作品中で実際に故郷を訪ねてあるく本人だ。「男栿」という名前は女性っぽくないが、親が「男のようにたくましく」という意味を込めて命名したらしい。この名前も本作のテーマである「一人っ子政策」が中国社会に与えた影…

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー (新潮文庫) 2021

話題のベストセラー。ブレイディみかこさんは、この本が話題になるちょっと前ぐらいに、ラジオに出演してたり、ウェブで読める記事で知っていて、The Smithsとモリッシーについて語っていたり、イギリスの幼児教育について語っているのを聞きかじっていた。…

ゴールデンカムイ(第三期)

織りなされる死生観の葛藤。それが生きるということ。 傑作だと思う。丹念な事実の掘り起こしとフィクションとしての自由奔放な発想、素晴らしい。時おり織り交ぜる日本アニメのステレオタイプを利用したけっこうブラックなギャグも最高だ。そして土方歳三と…

風の御主前(かぜのうしゅまい) 1974年 大城立裕

大城立裕さんというのは偉大な作家だったんだなあ。歴史的事実を丹念に積み重ねながら、人物像や情景が目に浮かぶような見事な筆さばき。 本作は沖縄・石垣島に初めて気象測候所をつくり、島の開発につくした岩崎卓爾の生涯を描いた伝記ものの小説だ。 岩崎…

フランクおじさん Uncle Frank 2020 アメリカ

これは良作。自然豊かな情景を切り取った映像、抑えられているけど豊かな俳優陣の演技、主人公・ベスとアンクルおじさんの間に通い合う優しさ。とても素敵な作品だと思う。 冒頭のシーンが好きだ。ベスとアンクルおじが二人で話すシーン。田舎の、粗野な家族…

「一帯一路」時代のASEAN――中国傾斜のなかで分裂・分断に向かうのか 出版社 : 明石書店  発売日 : 2020/1/31

www.youtube.com 「一帯一路」の音楽会。笑えるけど、怖ぇーよ! ASEAN諸国がどんどん中国の経済圏に取り込まれている、というのは日々のニュースからも知っているし、「一帯一路」が中国の経済面のみならず、軍事面でも重要な戦略を担っていることも知って…

サウンド・オブ・メタル  Sound of Metal 2019 America

素晴らしい作品だなと思った。これこそ映画だよねと。これが映画の力だなぁと。聴覚障害のない人間にとって、ろう者の世界はひどく縁遠く、想像するのが難しい世界だ。だけど、この作品は急激に聴覚を失った主人公ルーベンの視点から、見事にそれを描いてい…

パラサイト 半地下の家族 2019 韓国

ご存じカンヌでパルムドールをとった作品。公開前から話題になり、絶賛されていた作品なので早く見たかったが、よくやく視聴。前情報をできるだけ入れずに見たいと思っていたけど、前半部分の展開なんかはなんとなくわかってしまっていたかも。 韓国映画初の…

国際市場で逢いましょう 2014年 韓國

自分がいかに戦後(それも朝鮮戦争後だ)を知らないかと思い知らされる作品。隣国でありながら本当に何も知らない。民主化以降の韓国だけを見ていると、戦後の日本、今自分たちが暮らしている日本とたいして変わらない民主主義社会で、資本主義社会で、と思…

タクシー運転手 ~約束は海を越えて 2017年 韓國

史実とは異なる点も多々あるようだけど、韓国の現代史に少しでも理解を深めるにはいい素材だと思います。ラストの演出はともかく、そこに至るまでの緊迫感はすばらしく(前半はコメディではあるけど)、光州民主化運動と光州事件が韓国社会に大きな影響を残…

ALL IN [THE FIGHT FOR DEMOCRACY]

すべてをかけて 民主主義を守る戦い 2021年1月9日 追記 大統領選に続き、上院選挙でも民主党が勝利した。この作品に出てきたステイシー・エイブラムスさんは覚えておくべき注目人物。ただのおばちゃんかと思ってたけど(笑)、地道な活動が実を結んだらしい。…

「判決、ふたつの希望(字幕版)The Insult 」

原題はアラビア語なのでよくわからんが、英語タイトルは「The Insult」。邦題の付け方は昔から賛否両論あるけど、この作品「判決」というのもどんなかなぁ。Insultは直訳で「侮辱、無礼、侮辱行為」。 判決と侮辱では違いすぎるよな。実際、本作品は裁判劇の…

自分自身の新型コロナウィルスに関するフェイスブック投稿をまとめてみた。 ②2020年4月1日~4月30日まで

東京のロックダウンが噂されるようになったのが3月末頃か。先にロックダウンを実施した中国の経済がどんな風になっているのかも気になっていた時期。 自分自身の仕事も、3月いっぱいはなんとか通常モードで回していたが、4月に入り一気に影響が出始めた。仕…

自分自身の新型コロナウィルスに関するフェイスブック投稿をまとめてみた。 ①2020年1月30日~3月30日まで

新型コロナ関連のニュースにはけっこう早くから注目していた。普段から台湾や中国の情報をちょくちょく見ていたおかげで、武漢の様子や、台湾が迅速にとる対策をリアルタイムで追っかけてました。この頃はかなり日本政府の無策にイライラしていたなぁ。政府…

2ヶ月後、八重山の雇用状況はどうなっているのか?

新型コロナウィルス感染拡大の影響により、4000人が失業!? 「沖縄県は3日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で~(中略)~観光収入は1166億8千万円の損失で、1万9402人の雇用が失われる可能性もあるという。」(沖縄タイムス4月4日付記事より)…

わたしは、ダニエル・ブレイク I, Daniel Blake by Ken Loach (字幕版)ケン・ローチ

ただの左翼のプロパガンダ映画じゃない。社会の包摂力を問う良作。 まず、イギリスを昔の教科書に載っていた「ゆりかごから墓場まで」の福祉国家のイメージで語っているレビューが散見されるけど、サッチャー以降の新自由主義のイギリスをぜんぜん理解してい…

「植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム」 ステファノ・マンクーゾ、アレッサンドラ・ヴィオラ、マイケル・ポーラン 他

原題「Verde Brillante: Sensibilita e intelligenza del mondo vegetale」。2015年出版。 ブロックチェーン、ネットワーク型思考システム。植物を考えるとき、いま、注目されているシステムとの関連性がとても高いように思う。この本の中で示される植物の生…

「低欲望社会」 大前研一

副題に「大義なき時代の新・国富論」とある。大前研一の別の本でも書かれている提案も多くあったけど、相変わらずの素晴らしさ。日本の債務問題と少子高齢化問題に対する危機感、それに政治家・官僚の利権と規制でのがんじがらめに対するいら立ちがひしひし…

「夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)Audible版」 森見 登美彦 (著), 安國 愛菜 (ナレーション)

オーディブルで鑑賞。 アトピー用のステロイド薬のせいで緑内障になり、目の手術のあと、オーディブルで鑑賞。素晴らしかった。この著者の文章のリズムの良さ、この作品のテンポの良さ、クライマックスに向かって盛り上がっていく構成の素晴らしさ、そして声…

「明恵 夢を生きる」河合 隼雄

仏教の知識がなくても読みやすい。 以前自分が学生時代・思春期の頃にたくさん河合隼雄先生の著作を読んでいたのでユング派心理学の基礎や河合先生の基本的な考え方にすんなり入っていくことができた。また白州正子さんの明恵上人の評伝と併せて読んだことで…

「希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学」 池田 信夫

斜陽=成熟社会という幻想。 バブル崩壊のあとから「日本は斜陽国家だ、あとはうまく成熟するしかない」みたいな議論は出ていたはずだけど「成熟」することにも日本は失敗しちゃったんだなぁと教えられました。五木寛之さんだかが「“諦める”は明らかに知るだ…

「民主主義という不思議な仕組み」佐々木 毅

投票権を持つようになって何年も経っているから、わかったような気になっていた「民主主義」を見つめなおすことができました。プリマー新書というカテゴリーだけど十分読み応えのある入門書だと思います。金融危機という形で現れた新自由主義の破綻を考える…

「パレード」  吉田 修一

抜群に面白い。属性を失った人間たちの小さなコミュニティ。踏み込まないことによって傷つけあわず、笑って過ごせるけどお互いの抱えてる問題までは引き受けきれない。登場人物がみんな本当に孤独に感じる・・・。語ろうと思えばいくらでも語れる作品じゃな…

「海の都の物語 ヴェネツィア共和国の1000年」

「ローマ人の物語」シリーズより、小説的で読みやすいと思う。とにかく圧倒的に面白い。ヴェネツィア人をあまりに功利的すぎるように感じる人もいるかもしれないけど、ヨーロッパの心が中世の魔女狩り的な薄闇の中にいた中で、その理性を維持していたのはす…

「死言状 」 山田 風太郎

江戸川乱歩に影響を受けてミステリー作家としてデビューし、忍法帖で一世風靡、そして完璧に計算された明治もの。ほんとすごい作家さんです。幕末明治ものは掛け値なしに傑作ぞろいだぁ。司馬遼太郎は知ってても山風先生知らないひとって多そう。もったいな…