石垣島から所想所説、徒然なるままに

沖縄・石垣島の話題を中心に、石垣島から見えること、思うことを徒然に。好きな映画のレビューや、自分が難儀しているアトピーの話題なんかも。

2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「キャンセルされた街の案内」吉田 修一

吉田修一ファンなら、後ろから2番目の「灯台」が入っているだけでも買いだと思います。17歳のぼくと37歳の自分が語りあう。ありえない状況なのに、とてもリアル。ほかの収録作は・・・。ぼくはタイトル作は地縁があるからけっこう面白かった。 ぼくが思うに吉…

「悪人」  吉田 修一

素朴であること、ひとに真面目であること、悪人。 なぜ吉田修一さんは「いま」を生きる人たちの心をこんなにもうまく描けるのだろう? この高度情報化社会の中じゃいろんな「意見」やら欲望すべき「情報」やらが垂れ流されているけど、そんなものに興味も関…

「希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学」 池田 信夫

斜陽=成熟社会という幻想。 バブル崩壊のあとから「日本は斜陽国家だ、あとはうまく成熟するしかない」みたいな議論は出ていたはずだけど「成熟」することにも日本は失敗しちゃったんだなぁと教えられました。五木寛之さんだかが「“諦める”は明らかに知るだ…

「日本史を読む」丸谷 才一 (著), 山崎 正和 (著)

ヒストリカル・イフは楽しい。 歴史の教科書じゃなかなか出てこない内容が続々登場して楽しい。「政治的手法としての男色」とか小題をみても今まで知らなかった事実が盛りだくさんでした。 そういうトリビア以上に面白かったのが、歴史的事実の必然を語るよ…

「二十世紀を読む」 丸谷 才一 (著), 山崎 正和 (著)

読みやすくて奥が深い。 まずは二人の知識の幅の広さに圧倒される。会話の端々に「このテーマを掘り下げたらどうなるんだろう?」という内容が隠されていて、考えるきっかけをたくさん持った対談だと思います。 オススメは「近代日本と日蓮主義」。対談時に…

「僕の叔父さん 網野善彦」中沢 新一

網野著作がナカザワを面白くする。 網野喜彦さんの追悼文、ということになっているけど実際には中沢新一さんの考えのほうが強く出ている感じですね。でも、バックボーンとしてマルクス史学や皇国史観に対する反動という個人的な文脈はやっぱり網野さんの中に…

「世界は分けてもわからない」福岡 伸一

文章、うまっ! 科学者の書いたものとは思えない文章力。各章の冒頭に掲げられる引用をみてもずいぶんいろんな本まで読んでいるんだなぁと感心するのだけど(村上春樹まである!)、全体としての構成も見事! 生物学の知識としてはあまり突っ込んだものはな…

「グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する」 佐々木 俊尚

出版から4年近くたってしまって読みました。 賛美から反抗する対象へ。グーグルはもう完全に権力になってしまったなぁと。 グーグルが代表するウェブの現在形の一部を非常にうまく多角的にまとめてある良書だと思います。既存のビジネスモデルを破壊し、知…

「スウェーデンの挑戦」 (岩波新書) 岡沢 憲芙

入門書として、日本と比較して。スウェーデンの福祉国家としての在り方の入門書としてはいいんじゃないでしょうか。政策ひとつひとつの具体例に乏しいし、批判的に読まないと賛美の羅列になってしまいますが・・・。 日本では北朝鮮との関係で社会主義というと…