石垣島から所想所説、徒然なるままに

沖縄・石垣島の話題を中心に、石垣島から見えること、思うことを徒然に。好きな映画のレビューや、自分が難儀しているアトピーの話題なんかも。

2009-01-01から1年間の記事一覧

「海の都の物語 ヴェネツィア共和国の1000年」

「ローマ人の物語」シリーズより、小説的で読みやすいと思う。とにかく圧倒的に面白い。ヴェネツィア人をあまりに功利的すぎるように感じる人もいるかもしれないけど、ヨーロッパの心が中世の魔女狩り的な薄闇の中にいた中で、その理性を維持していたのはす…

「死言状 」 山田 風太郎

江戸川乱歩に影響を受けてミステリー作家としてデビューし、忍法帖で一世風靡、そして完璧に計算された明治もの。ほんとすごい作家さんです。幕末明治ものは掛け値なしに傑作ぞろいだぁ。司馬遼太郎は知ってても山風先生知らないひとって多そう。もったいな…

「テンペスト」  池上 永一

琉球王朝自体が歴史小説、時代小説として取り上げられることが少ない中で、著名な作者が手がけたことはよかったと思う。聞得大君のような表現の難しい存在を物語に溶け込ませたのはえらいなぁと思うし、琉歌を織り込んだのもありだと思う。だけど、どうなん…

「近代日本社会と『沖縄人』―『日本人』になるということ」冨山 一郎

大正から昭和初期の年代について書かれたウチナーンチュの近代化論。ミシェル・フーコーに興味のあるひとなら面白く読めると思います。結局、文化とはその人々の身体にまで刻まれているべきものであり、現代社会を象徴するグローバリズムや効率化の波が身体…

「風花」川上 弘美

文章力、それから想像力 卑近なテーマだし、特別な事件の起こらない小説です。だけど、作者・川上弘美がこれを文章力と想像力だけで書き上げたんだと考えたら、すごいと思う。常人の想像力じゃ書けないディテール。読ませるし、泣かせる。ぼくは作品は読むけ…

「乳と卵」川上 未映子

関西人ならすらすら読めます。関西弁がネイティブなら、問題なく読めるはず。筒井康隆さんの唯野教授思い出すなぁ。町田康より、だんぜん読みやすいし、理性的すぎないでいいんじゃないかな。ところどころで入るエピソードや回想なんかも変にまとめすぎたり…