「風花」川上 弘美
文章力、それから想像力
卑近なテーマだし、特別な事件の起こらない小説です。だけど、作者・川上弘美がこれを文章力と想像力だけで書き上げたんだと考えたら、すごいと思う。常人の想像力じゃ書けないディテール。読ませるし、泣かせる。
ぼくは作品は読むけど、その作家のプロフィールを一所懸命追いかけるほうじゃないので、はっきり言えないけど、文章力と想像力だけで書き上げたとしたら、やっぱりすごい。
恋愛や結婚が、人生の中でどれくらいの重みを持つのかは人それぞれだろうけど、やっぱり決定的な役割は持っているんじゃないかな。そういう意味でのリアルと、文章としての浮遊感を併せ持った素敵な作品だと思います。