石垣島から所想所説、徒然なるままに

沖縄・石垣島の話題を中心に、石垣島から見えること、思うことを徒然に。好きな映画のレビューや、自分が難儀しているアトピーの話題なんかも。

Star Trek: Picard 1st season 2nd season 2020,2022

 スタートレックのファンとしては、アマゾンプライムでタダで観られるなら期待して観るのは当然だと思う。
 僕個人の結論としては、平凡な出来だと思う。スタートレックだからこそ、の期待感は裏切られたといってもいいかもしれない。

 1stシーズンはロミュラン主星の超新星爆発と、人工生命(シンス)の物語を軸に描かれている。人工生命の存在を認めるか、認めるとして、ヒトとしての人権を認めるかは今日的なテーマだし、スタートレックらしい哲学的な問題をはらんでいると思う。だけど、年老いたピカードとその仲間たちのキャラクター造形、、物語の展開、テンポ。そしてオチに至る流れがどうもしっくりこない。
 2ndシーズンは、舞台を現代にもってくることで、ある意味わかりやすい今どきのドラマに仕上がっていると思う。ただQがピカードに課す試練にしろ、未来をただすためにエウロパへの有人飛行計画を成功させるミッションにしろ、ボーグ・クィーンとのやりとりなど、SF的な、哲学的なイシューをうまく取り込めているか、鑑賞後に深く考えさせられるものかというと、ちょっと納得がいかない。

 かってのスタートレックとシリーズといえば、星新一ショートショートのようにアイデアに溢れ、一話一話が、そのネタだけで長編シリーズに展開できるんじゃないか、というぐらい内容の濃いものだったと思っている。一話完結ですすむシリーズなんかでは特にそうで、未知の惑星と生命体に出会い、人間とはまったく違う倫理や価値観、システムで生きる宇宙生命体と向き合うことで、様々な哲学的なテーマを突きつけてくるモノが多かった。もちろんシリーズの中ではユーモラスな人間ドラマだったり、純粋なアクション大作のような作りのものもあったわけだけど、シリーズ全体を通して思考実験としてのSFであったり、物語を通じて宇宙の多様さ、エンタープライズのクルーたちのダイバーシティとの向き合い方など、本当に深いテーマをはらんでいるものが多かった。そういう比較から言うと、このシリーズはスタートレックらしからぬ、ちょっとしたアイデアをテンポのいいストーリー展開で見せていく、ある意味とてもいまどきの作りのドラマに過ぎない、と思う。
 ファンとして、ぜんぜん面白くないわけじゃない。スタートレックの様々な小道具で出てきて、これまでの歴史をふまえたネタがちりばめられているのだから楽しいではある。だけど、期待値が高すぎたせいか、満足とはいえない。
 普通のドラマとしては星4つ。スタートレックとしては星3つかな、と。