『ギャングバスターズ』(原題:The Baytown Outlaws)
アクション・コメディ映画で、思いっきり低予算B級映画なんだけど、ドラマ部分がよくできてるんだよなぁ。アマゾンプライムで高評価だったので視聴したんだけど、高評価つけたくなる気持ちがよくわかる(笑)
ドラマ部分で、自分が秀逸だなぁと思ったのは三男坊リンカーンが重傷を負ったときにキャンピングカーに拾われる場面。キャンピングカーに乗っていたのは彼らが昨晩とまったモーテルの清掃員の美女。彼女は地元では看護師で、不法移民としてアメリカに来たためにモーテルの清掃員として働いていたわけだ。そこで長男のブリックと交わす会話が、けっこう沁みる。アメリカにおける不法移民の人たちの人権問題にも思いをはせてしまうし、ある意味、ホワイトトラッシュとして生きてきた三兄弟が、社会から疎外されているもの同士のなんともじわりと来る会話なのだ。
救出して守るべき存在が小児麻痺の障害者の子という設定も、B級映画にしては冒険するなぁと思ったけど、上手に描いているんだよなぁ。給油所で買い物するシーンなんかも、ほんと上手。脚本としてすばらしいのは、主人公の3人と救出される彼が、物語のスタート時からエンディングに向かって少しずつ成長していること。金のために保安官に使われ「モンスター」と呼ばれるような3兄弟たちが、車椅子の彼との関わりの中で本当に少しだけども、人間性を取り戻していく。長男がなぜ今回に限って懸命にガキを守るために行動するのか、不思議になった次男が問い詰めると、「自分たちには亡くなった障害児の弟がいた」という。最後に三男坊の発声機を使って「サンキュー」と伝える車椅子の彼。
ラストシーンの爽快さも素晴らしく、高評価しちゃうよな。キリングタイムのつもりで観て、思った以上のものをもらっている。これぞ映画の醍醐味じゃないかな。オススメです。