「低欲望社会」 大前研一
副題に「大義なき時代の新・国富論」とある。大前研一の別の本でも書かれている提案も多くあったけど、相変わらずの素晴らしさ。日本の債務問題と少子高齢化問題に対する危機感、それに政治家・官僚の利権と規制でのがんじがらめに対するいら立ちがひしひしと伝わってくる。この人に5年ぐらい首相になってもらえばいろいろ問題解決しそうなのになぁ。メモ的に箇条書き
・税金は現行の税をすべて撤廃し、税率をフラットにした消費税(付加価値税)と資産税のみにする。それによって外国人富裕層に日本に住んでもらう。
・都心の容積率を緩和し、再開発。職住接近の街にして人モノ金が集まるクラスター化させる。
・移民を計画的に入れ、本格的に定住させる。ハードルを下げ、教育を施すシステムを整備し、永住資格の基準を作る。
・農業の補助金はやめ、世界の農業メジャーを買収して、安全安心な食料を安定的に輸入すればよい。
・国内農業は兼業農家をなくし、ブランド化できる高付加価値のものに集中する。オランダ型農業。
・教育改革としては、大学を減らし、職業訓練校を増やすことを提唱。ドイツのマイスター制、デュアルシステムを参考にすべしと。
・小選挙区をやめ、中選挙区に戻す。選挙区への利益誘導しかしない政治家を減らすため。
・道州制の採用。立法権、徴税権のない地方自治などありえない。アメリカ、ドイツとの比較から。
・それが無理なら地方議会は無用の長物、なくすべき。地方議員は無給のボランティアとすべし。
・各都道府県がおのおの「フラッグシップ・プロジェクト」を行う。県まるごと特区として、徹底した規制緩和を行い、成長エンジンとなってもらう。
・マイナンバー制度はつぎはぎで作った最悪のしろもの。エストニアに学び、統一した国民データベースを構築すべし。
さらに石垣島からみると地方の振興として
・リゾート開発は、細切れにではなく、優れたプロデューサーの構想力のもと、一体的に行う。
・個人のクルージングや釣り船を狙い、シニアや外国人向けに漁港を開放する(一般人、旅行者にも使用可能にする)
・長期滞在型の宿泊施設や周辺環境を整える。自炊ができる、とか。
・ハイエンド向けの高級レストランをリゾート地に呼び込む
・由布院、黒川温泉がお手本
などなど説得力のあるものばかり。
規制緩和で民間の経済活動を促進し、効率化やIT化で政府部門の無駄を省く。そして外国人を積極的に受け入れ、イノベーションを促進し、人手不足を解消する。天下国家を論じているので、自分の実生活に活かせるかは難しいところだけど、身にしみる言葉も。
「何で飯を食っていくのか全く考えないまま20代半ばで社会に出ていく若者を量産、、、自分の人生で何をやりたいのか思案しながら30代にまで突入する人も少ないない」
40歳なってやっと落ち着いてきたけど、自分もフラフラ生きて来てしまったなと。やれやれ。