「13デイズ(字幕版)」映画 2001年
キューバ危機を描いた作品。時系列と作中に描かれる会議の模様などは回想録をもとにかなり忠実に再現されているらしいが、あくまでフィクション、サスペンス映画という位置づけだそうだ。
1962年、自分は生まれていなかったので当時の核戦争に対する恐怖というのはいまいちイメージできない。この作品では冒頭に核戦争のイメージが挿入されるが、当時を生きていた人たちにとっては本当に可能性のある恐怖として感じられていたようだ。
作品そのものは、主人公(というか観客の目線の代わりになる人)がケヴィン・コスナーじゃなくても良かったんじゃないか、という点以外はとてもよくできた佳作だと思う。ソヴィエトに対する疑心暗鬼の中、強硬派の軍を抑えながら、なんとか危機を回避しようとするヒリヒリするような緊迫感がとてもよく演出されていた。JFKの俳優も悪くなかったが、弟のロバート(ボヴィ)ケネディの役者が良かったな。けっこう似てる気がする。ホワイトハウスで周りを固める脇役陣も◎。ちなみにケヴィン・コスナーはなぜかあまり好きになれない(笑)
この作品から考えることはやはり「抑止力」という問題だろう。抑止、についてはゲーム理論の「囚人のジレンマ」がよく持ち出される。
「囚人のジレンマ」状況においてプレイヤー全体で最悪の結果を招くのは、双方が「裏切り」を選択することなわけだけど、それを回避するためには、双方が「裏切り」「裏切り」を選択すれば破滅してしまう、という共通認識を持たなきゃいけない。
ここで重要なのは、双方をつなぐコミュニケーションのチャンネルがあること、お互いがお互いの情報・考えを正確に理解していること、だ。
冷戦をひきずってアメリカとロシアはずっと対立してきたし、北朝鮮もいまだ『戦時下』だ。そして中国は情報統制とサイバー戦争をやめようとしない。特にこのコロナ禍以降、米中双方ともに罵り合っている状況だ。
個人的には早く中国共産党には歴史の舞台から退場して頂きたいと思っているが、今のアメリカ・トランプ政権のやり方が正しいとは思えない。WTOで中国がいまだに発展途上国として遇されているのはすぐにでもやめるべきだし、WHOのテドロスとかいうロクでもないトップはすぐにでも交代させて、共産党政権との関係を追求すべきだとは思う。しかし、むやみに対立を煽っても、中国の市民を反米的にするだけで、それがかえって共産党の求心力を高めることになってしまう。批判すべきは共産党による人権侵害であり、求め続けるべきなのは中国国内の「言論の自由」であるべきだ。そして「民主化への努力をする」という言葉を共産党から引き出すことが重要だ。
限定的な核兵器の使用、なんてことが平気で言われるようになってしまった現代だが、「囚人のジレンマ」が教えてくれる『コミュニケーションをとって、お互いをより理解することが重要』ということを忘れずにいきたいなと。
話がだいぶそれたけど、けっこういい映画でした。