石垣島から所想所説、徒然なるままに

沖縄・石垣島の話題を中心に、石垣島から見えること、思うことを徒然に。好きな映画のレビューや、自分が難儀しているアトピーの話題なんかも。

「植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム」 ステファノ・マンクーゾ、アレッサンドラ・ヴィオラ、マイケル・ポーラン 他

原題「Verde Brillante: Sensibilita e intelligenza del mondo vegetale」。2015年出版。

ブロックチェーン、ネットワーク型思考システム。植物を考えるとき、いま、注目されているシステムとの関連性がとても高いように思う。この本の中で示される植物の生存のために発達してきた優れた能力ー感覚、情報伝達、選択、判断。植物のような「分散知能」が集合体となることで発揮する<創発特性>こそ、極めて重要なキーワードではないか?
 それは個々の要素だけでは意味をなさないけれど、全体としてみたときに別の機能、性質を生みだす生命そのものではないか。
植物はその個々の細胞、要素が集まってできている優れたコロニーなのだ。
 植物の能力の中でも特に驚かされるのが、その情報収集能力だ。光、温度、湿度、水分、栄養素、様々な化学物質に対して敏感に反応し、必要な行動をとる。特に「根」は恐ろしいばかりに優秀なセンサーであり、しかも適切な措置を行う優れた知性の持ち主だ。(この事実を強調していたのがダーウィンだというのも驚きだ)
 20の感覚を駆使して集められたデータをもとに植物は、生存のために必要な、実に的確で周到な措置をとる。それはコミュニケーション能力する有し、時には別の生命体、動物や昆虫を利用して栄養を補足したり(肉食植物)、繁殖を行う。本当に驚異的な知性なのだ。
そして、植物を地球上の主要な生命体たらしめているのは、その分割可能なパーツを組み合わせた身体、そしてその再生能力だろう。動物とは違うこの特性こそ、これからのシステムの在り方ではないだろうか?
 一般読者にとてもわかりやすく書かれた、それでいて非常にエキサイティングな名著だと思う。自分が若かったらこんな研究がしてみたかったなぁ!

植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム (日本語) 単行本 – 2015/11/20
ステファノ・マンクーゾ (著), アレッサンドラ・ヴィオラ (著), マイケル・ポーラン (その他)