石垣島から所想所説、徒然なるままに

沖縄・石垣島の話題を中心に、石垣島から見えること、思うことを徒然に。好きな映画のレビューや、自分が難儀しているアトピーの話題なんかも。

映画・書籍レビュー

「運び屋」(字幕版)クリント・イーストウッド

さすがのイーストウッド。 基本、コメディでした。密売組織の監視役とのやりとりなんかはかなり笑える。ラストに向かってサスペンス的に展開するのかと思いきや、最後は家族の物語り。振り回される密売組織がかわいそうなぐらい(笑)。それにしもてイーストウ…

「82年生まれ、キム・ジヨン」82年生的金智英 (単行本)チョ・ナムジ

あまりに話題になっているので購入してみたら、一気に読了。男性読者です。とても読みやすい良書だと思いました。 韓国についてはドラマもそんなに観ないし、K-POPもほとんど興味ないし、ネトウヨの嫌韓にはうんざりしている。ましてや政治家どものくだらな…

「世界侵略のススメ」 マイケル・ムーア

Where_to_Invade_Next 良作でした。ところどころで泣きそうになりました。ノルウェーの刑務所システム。人権に基づいて、愛と希望を教えることが再犯防止になり、社会に与するということ。チュニジアの女性運動。イスラム諸国に対しては、どうせ女性蔑視の遅…

「The Big Short(マネーショート)」映画

邦題はマネーショートという意味不明になっているけど、Shortに張るという逆張りの英語からきてる原題。 サブプライムローンから起こったリーマン・ショック&金融危機の際に、逆張りで大儲けした5人が主役になっている。ショートを引き受けて売り出すのも…

「インド アズ ナンバーワン」榊原英資

中国がアメリカを超え、その中国をインドが超える、と予測されている未来の超大国。同時に過去において産業革命以後のヨーロッパが台頭する以前、中国とインドは一貫して世界のトップ2の経済大国であった。 とまあ、この本を読む前からこれぐらいの知識はあ…

「植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム」 ステファノ・マンクーゾ、アレッサンドラ・ヴィオラ、マイケル・ポーラン 他

原題「Verde Brillante: Sensibilita e intelligenza del mondo vegetale」。2015年出版。 ブロックチェーン、ネットワーク型思考システム。植物を考えるとき、いま、注目されているシステムとの関連性がとても高いように思う。この本の中で示される植物の生…

「宇宙よりも遠い場所」アニメ

女子高生じゃないけれど、、、。 自分は40歳すぎのおっさんなわけだけれど、泣いてしまった。4人の女子高生それぞれが抱えてる悩みや葛藤、思いが南極への旅を通して昇華していく。そこには確かな仲間たちの支えがあった。失敗を恐れて新しい一歩を踏み出…

「曼荼羅の人 空海求法伝」 陳舜臣

密教とはなにか。「華厳思想のあと、仏教の最後の形として密教が現れたのは、インドの仏教人の反省が基本になっていたのだ。民間の信仰を離れることによって、インドうまれの仏教は世界宗教となった。ところが、それによって土着性をも失ってしまったのであ…

「四畳半神話体系」森見登美彦

アニメ映画化で話題になった「夜は短し歩けよ乙女」の著者の長編デビュー2作目。ぼくは「夜は短し歩けよ乙女」を目の手術のあとにオーディブルで鑑賞、素晴らしかった。この著者の文章のリズムの良さ、この作品のテンポの良さ、クライマックスに向かって盛…

「夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)Audible版」 森見 登美彦 (著), 安國 愛菜 (ナレーション)

オーディブルで鑑賞。 アトピー用のステロイド薬のせいで緑内障になり、目の手術のあと、オーディブルで鑑賞。素晴らしかった。この著者の文章のリズムの良さ、この作品のテンポの良さ、クライマックスに向かって盛り上がっていく構成の素晴らしさ、そして声…

「明恵 夢を生きる」河合 隼雄

仏教の知識がなくても読みやすい。 以前自分が学生時代・思春期の頃にたくさん河合隼雄先生の著作を読んでいたのでユング派心理学の基礎や河合先生の基本的な考え方にすんなり入っていくことができた。また白州正子さんの明恵上人の評伝と併せて読んだことで…

「中国語基本語ノート」 輿水 優

古くても内容がすばらしい!中国語を学ぶってこういうことだよなと。発音、会話が難しいからどうしてもおざなりになりがちだけど、これぐらい字義や用法、ニュアンスをきちんと説明してくれると読み応えがある。各単語ごとに時間のあるときにコラムを読むみ…

「この国を出よ」 大前 研一 (著), 柳井 正 (著)

正論だけどさぁ。なんだかなぁ。 もう8年前の出版。グローバルマッチョ二人が交互に持論を述べるスタイル。内容は細かい具体的なデータに基づくようなものではなく、総論概論といった感じで、日本の危機を訴え、それを変えるための提言集といった趣だ。その…

「私家版 日本語文法」井上 ひさし

もっともっと長生きしてほしかったなぁ。 訃報を聞いた後にふと読み返しました。とにかく楽しくてためになる。ぼくはこの本と著者の「文章読本」で夏目漱石の偉大さを理解したかもしれません。それに、この時代の作家さんたちの日本語がとても好きです。この…

「そうだったのか! 中国」 池上 彰

偏りのなさが素晴らしい。 右にも左にも偏りすぎていないのが素晴らしいと思います。全ての日本人と中国人に読んでほしい気がします。日本人にとってはこの程度の知識は感情論で日中関係を語る前に必要だし、中国人に対しては自分たちの政府が外からどういう…

「キャンセルされた街の案内」吉田 修一

吉田修一ファンなら、後ろから2番目の「灯台」が入っているだけでも買いだと思います。17歳のぼくと37歳の自分が語りあう。ありえない状況なのに、とてもリアル。ほかの収録作は・・・。ぼくはタイトル作は地縁があるからけっこう面白かった。 ぼくが思うに吉…

「悪人」  吉田 修一

素朴であること、ひとに真面目であること、悪人。 なぜ吉田修一さんは「いま」を生きる人たちの心をこんなにもうまく描けるのだろう? この高度情報化社会の中じゃいろんな「意見」やら欲望すべき「情報」やらが垂れ流されているけど、そんなものに興味も関…

「希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学」 池田 信夫

斜陽=成熟社会という幻想。 バブル崩壊のあとから「日本は斜陽国家だ、あとはうまく成熟するしかない」みたいな議論は出ていたはずだけど「成熟」することにも日本は失敗しちゃったんだなぁと教えられました。五木寛之さんだかが「“諦める”は明らかに知るだ…

「日本史を読む」丸谷 才一 (著), 山崎 正和 (著)

ヒストリカル・イフは楽しい。 歴史の教科書じゃなかなか出てこない内容が続々登場して楽しい。「政治的手法としての男色」とか小題をみても今まで知らなかった事実が盛りだくさんでした。 そういうトリビア以上に面白かったのが、歴史的事実の必然を語るよ…

「二十世紀を読む」 丸谷 才一 (著), 山崎 正和 (著)

読みやすくて奥が深い。 まずは二人の知識の幅の広さに圧倒される。会話の端々に「このテーマを掘り下げたらどうなるんだろう?」という内容が隠されていて、考えるきっかけをたくさん持った対談だと思います。 オススメは「近代日本と日蓮主義」。対談時に…

「僕の叔父さん 網野善彦」中沢 新一

網野著作がナカザワを面白くする。 網野喜彦さんの追悼文、ということになっているけど実際には中沢新一さんの考えのほうが強く出ている感じですね。でも、バックボーンとしてマルクス史学や皇国史観に対する反動という個人的な文脈はやっぱり網野さんの中に…

「世界は分けてもわからない」福岡 伸一

文章、うまっ! 科学者の書いたものとは思えない文章力。各章の冒頭に掲げられる引用をみてもずいぶんいろんな本まで読んでいるんだなぁと感心するのだけど(村上春樹まである!)、全体としての構成も見事! 生物学の知識としてはあまり突っ込んだものはな…

「グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する」 佐々木 俊尚

出版から4年近くたってしまって読みました。 賛美から反抗する対象へ。グーグルはもう完全に権力になってしまったなぁと。 グーグルが代表するウェブの現在形の一部を非常にうまく多角的にまとめてある良書だと思います。既存のビジネスモデルを破壊し、知…

「スウェーデンの挑戦」 (岩波新書) 岡沢 憲芙

入門書として、日本と比較して。スウェーデンの福祉国家としての在り方の入門書としてはいいんじゃないでしょうか。政策ひとつひとつの具体例に乏しいし、批判的に読まないと賛美の羅列になってしまいますが・・・。 日本では北朝鮮との関係で社会主義というと…

「民主主義という不思議な仕組み」佐々木 毅

投票権を持つようになって何年も経っているから、わかったような気になっていた「民主主義」を見つめなおすことができました。プリマー新書というカテゴリーだけど十分読み応えのある入門書だと思います。金融危機という形で現れた新自由主義の破綻を考える…

「パレード」  吉田 修一

抜群に面白い。属性を失った人間たちの小さなコミュニティ。踏み込まないことによって傷つけあわず、笑って過ごせるけどお互いの抱えてる問題までは引き受けきれない。登場人物がみんな本当に孤独に感じる・・・。語ろうと思えばいくらでも語れる作品じゃな…

「オバマ・ショック」  越智 道雄 (著), 町山 智浩 (著)

お手軽! アメリカ現代論! タイトルは「売らんかな」だけど、内容は流石の一言。町山さんの本はハズレなしですね。内容で気になったのはアメリカの覇権は黄昏なのか、ということ。政治的に、経済的にアメリカが覇権を失ったら、やはり中国インドアラブあた…

「日本の難点」 宮台 真司

多くのレビュー通り、各テーマの掘り下げは不十分だし、家族の話の自画自賛には疲れるけど、面白い内容だと思います。 世界システム論とか構造論とか記号論とかかじってれば、多少の事前知識があれば・・・、なんとか言わんとするところを類推できる、みたいな…

『資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言』 中谷 巌

賛否両論さまざま出ているけど、議論が大雑把な分、自分としては一気に読めました。最初から専門書として手に取ったわけじゃないし、面白かったですよ。資本主義とそのグローバリゼーションが持っている深刻な問題は三つあると考えてきたけど、それを再確認…

「海の都の物語 ヴェネツィア共和国の1000年」

「ローマ人の物語」シリーズより、小説的で読みやすいと思う。とにかく圧倒的に面白い。ヴェネツィア人をあまりに功利的すぎるように感じる人もいるかもしれないけど、ヨーロッパの心が中世の魔女狩り的な薄闇の中にいた中で、その理性を維持していたのはす…