石垣島から所想所説、徒然なるままに

沖縄・石垣島の話題を中心に、石垣島から見えること、思うことを徒然に。好きな映画のレビューや、自分が難儀しているアトピーの話題なんかも。

「インド アズ ナンバーワン」榊原英資

 中国がアメリカを超え、その中国をインドが超える、と予測されている未来の超大国。同時に過去において産業革命以後のヨーロッパが台頭する以前、中国とインドは一貫して世界のトップ2の経済大国であった。
 とまあ、この本を読む前からこれぐらいの知識はあったので、インドの現在をより詳しく知りたいと思って手にしたのだけど、良くも悪くも“入門書”だった。ウィキペディアでなぞれるような内容も多く、いささか教科書的な説明であったり、中途半端にまとめた歴史についてはかえってわかりづらいかもしれない。また、日本とのつながりや比較にたくさんページが割かれているのだけど、空海の時代にまでさかのぼって“日本の”仏教史を語ったり、印象論的な共通点と相違点を述べたり、と著者の独りよがりに感じる部分も少なからずあった。また、資料になっている書籍などがいずれもすでに邦訳されているちょっと前のものばかりなので、2011年出版ながらデータはさらに10年さかのぼっているものも多く、現在を知るには物足りない。
 とはいえ、興味深い点もいくつか。
・多様性の国だからこその連邦制と民主主義。そしてインド人の議論好き、政治好き。
ヒンズー教の寛容さと世俗的な欲求の肯定。
発展途上国としては異例の製造業ではなく「ITサービス業」での急成長。
・50%を超える農村住民の貧困と、高等教育の超ハイレベル。
・民主主義ゆえの腐敗と、それがもたらすインフラ整備の遅れ。
カースト制度の「ヴァルナ」と「ジャーティ」
カースト制度に由来するのか、上下関係に敏感。
カースト制度affirmative actionや補償ゆえに、政治的に利用され、かえって固定化される逆転現象。
ベジタリアンの多いインド人。しかも宗教も多様なので、禁忌となる食べ物もそれぞれ違う。ゆえに?外食での接待、などはあまり盛んじゃないらしい。最近映画のネタにもなり有名になった「ダバワラ」(家庭で作った弁当の配送サービス)もこれに関係するのかもしれない。

 「3 Idiots」という映画があったけど、あれを観たほうが今のインドを感じられるのかもしれない。すごい勢いで国が発展していく過程と自らの青春時代が重なる世代はとても幸せだと思う。
 インド、行きたいなー。