『資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言』 中谷 巌
賛否両論さまざま出ているけど、議論が大雑把な分、自分としては一気に読めました。
最初から専門書として手に取ったわけじゃないし、面白かったですよ。
資本主義とそのグローバリゼーションが持っている深刻な問題は三つあると考えてきたけど、それを再確認できました。
ひとつは、すべてが世界基準のマネーに換算されてしまうことによる貧困・飢餓の創出。自給自足では現金を手にできないために医療や教育を受ける機会を奪われる貧困が生まれるという問題。この本で紹介されるブータンやキューバじゃないけれど、参加したくないゲームには参加しない権利があってもいいんじゃないだろうか?
これと関連して自己責任と自由競争の不平等もある。歴史的に、みたいな長い目で見れば富は移転していく可能性はあるけれど、人ひとりの一生の間に挽回できないような大きな格差は是正する努力が必要だと思う。
二番目は、やっぱり経済学の外部性の問題。自然環境や文化を価値換算できず、タダ乗りしてるのが今の経済だし森や海を「開発しない」というコストを払い続けてきた周辺のひとたちに報いるシステムってないものだろうか?
そして一番問題なのが、現代のイデオロギー「経済学」が規定する「ホモ・エコノミクス」としての生き方・価値観の強制。やれやれ、ですよ。
著者のような影響力のあるひとが転向してくれたのは歓迎していいんじゃないかな。
資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言 (日本語) 単行本 – 2008/12/15
中谷 巌 (著)