石垣島から所想所説、徒然なるままに

沖縄・石垣島の話題を中心に、石垣島から見えること、思うことを徒然に。好きな映画のレビューや、自分が難儀しているアトピーの話題なんかも。

「曼荼羅の人 空海求法伝」 陳舜臣

密教とはなにか。
「華厳思想のあと、仏教の最後の形として密教が現れたのは、インドの仏教人の反省が基本になっていたのだ。民間の信仰を離れることによって、インドうまれの仏教は世界宗教となった。ところが、それによって土着性をも失ってしまったのである。
 迷信、俗信をまじえた民間信仰は、その平面では放棄されても、高い段階では吸収されなければならない。いわば「止揚」であることを要した。仏教が土着の信仰と再び結びつくことで、密教の形をとった」
 空海さんが海を渡ったとき、中国は唐王朝時代。ぼくの個人的意見では中国がもっとも魅力的で輝いていた時代が唐王朝だと思う。政治経済軍事文化、どれをとっても強力で、開放的で、世界中から叡智が集まっていた時代。陳舜臣らしい確かな筆致で、かなりの想像力を交えながら(?)活き活きと空海とその時代を共有した人々を描く。面白かった。

曼陀羅の人(上) 空海求法伝 (曼陀羅の人/空海求法伝) (集英社文庫) (日本語) 文庫 – 1997/12/12