八重山観光を支える運輸・旅行業各社の株価をまとめてみた
半年前からの下落率を見てみる。一部は持株親会社の株価だ。5月15日付
まずは国内航空会社から
JAL
2019年11月15日 3,333 JPY → 2020年5月15日 1,806 JPY
約46%の下落
ANA
2019年11月15日 3,745 JPY → 2020年5月15日 2,314 JPY
約39%の下落
今年に入って急激に下げていて、まだ底が見えないが、さすがに航空会社は政府が全力で救済措置をとるだろう。
次に国内旅行代理店。業界大手のJTBと日本旅行は非上場。
2019年11月15日 1,515 JPY → 2020年5月15日 945 JPY
約38%の下落
2019年11月15日 2,917 JPY → 2020年5月15日 1,621 JPY
約44%の下落
鉄道会社・近鉄のグループである近畿日本ツーリストはいいが、ベンチャーとしてスタートしているエイチ・アイ・エスは深刻。地球の上から「旅行者」がいなくなってしまった状況で、どうするのか?
次にクルーズ船2社。
プリンセスクルーズ(親会社・カーニバルコーポレーション)
2019年11月15日 44.85 USD → 2020年5月15日 12.71 USD
約72%の下落
スタークルーズ(親会社・ゲンティン香港)
2019年11月15日 0.83 HKD → 2020年5月15日 0.56 HKD
約33%の下落
新型コロナウィルスの「培養船」になってしまったダイヤモンド・プリンセス号のことは記憶に新しい。日本での報道は少なかったが、他にいくつものクルーズ船が同じ目に。八重山への外国人観光客最大の供給地・台湾でもかなり報道されていたので、この影響は相当に長引くと予想できる。
次は航空国際線。
香港エクスプレス(親会社・キャセイパシフィック航空)
2019年11月15日 9.83 HKD → 2020年5月15日 8.85 HKD
約10%の下落
中華航空(台湾)
2019年11月15日 9.05 TWD → 2020年5月15日 8.03 TWD
約11%の下落
感染爆発を抑えてる香港と台湾の会社だけに、ずいぶんマシ。香港路線は、香港人だけでなく、中国大陸からの旅行客も運んできていた。ウィルスの問題に加え、日本側の「鎖国」と、反中感情が懸念される。中国共産党に腹を立てるのは仕方がないが、中国人差別はあってはならない。
本土の大企業やグローバル企業の株価なんか、石垣島に暮らす我々には関係ない、と思うかもしれない。しかし、過去20年間、世界のツーリズム産業の成長率はすさまじく、1990年に世界で4億3,800万人だった国際観光客数は2017年には13億2,600万人と3倍以上に増加している。八重山では、1990年に32万人だった入域観光客数が2017年138万人へと同じように3倍以上に増加、2019年は147万人だ。沖縄ブームや新石垣空港の開港、日本政府のインバウンド政策など内外部の環境変化が追い風になって、世界の中の八重山として、恩恵を受けてきたわけだ。
成長曲線を描いてきた八重山観光だが、リーマンショックから東日本大震災まで落ち込みを経験している。2008年に78万人だった観光客数が2011年66万人まで減少している。このときはじわりじわりと16%減少したが、今回は違う。まず母数が147万人と大きく膨らんでおり、仮に2011年の66万人まで落ち込むとしたら55%減というインパクト。今回の危機が全世界規模で「人の移動を禁止する」という特殊な状況であることを考えると、もっと悪い予測すら可能だ。
ネガティブになっても何もいいことはないが、事態の深刻さは直視すべきだろうなと。やれやれ。