丸の内魔法少女ミラクリーナ 2020/2/29 村田 沙耶香
この本は「なもむ」!!
読了したとき、多くの読者がつぶやいたんじゃないだろうか?
この本ほんと「なもむ」わ~、と。
短編4作が収められているのだが、どの作品もかなり「なもむ」。
まず巻頭を飾る表題作「魔法少女ミラクリーナ」のぶっとび具合がすごい。だけどこの著者がすごいのは、こんなぶっとんだ設定と展開なのに、日常的で平易な描写で物語がすすんでいくから、なんだか現実にあり得そうな気もしてくるから不思議だ。
クライマックスにかけては爆笑してしまいました。
ほかの三編「秘密の花園」「無性教室」「変容」については、昔ぼくが好きだった星新一とか筒井康隆のようなブラックユーモアなSF、思考実験的な作品のようにも感じた。「秘密の花園」「無性教室」は性的な描写のあたりが女性作家らしいというか、この著者らしい精緻な表現も多くて印象深い。
「変容」については筒井康隆が書きそうなブラックユーモアだなぁ。
著者の作品は「コンビニ人間」を読むまで未見だったのだけど、とにかく圧倒的な文章力に脱帽。一人称で語られるのに、ものすごく奇妙だったり、偏ったキャラが語るわけで、そこに感情移入していくことで、普通あり得ないような逸脱感を味わうことができる。ほんと「なもみ」ます。
世間でどういう風に読まれているのかわからないのだけど、基本的にはどれも独特のユーモアが特徴だと思う。これから著者のほかの作品もどんどん読んでいきたいと思います。面白い!