石垣島から所想所説、徒然なるままに

沖縄・石垣島の話題を中心に、石垣島から見えること、思うことを徒然に。好きな映画のレビューや、自分が難儀しているアトピーの話題なんかも。

バイス:Vice 2018年アメリカ

 ディック・チェイニーの伝記?映画。完全なコメディだが。
クリスチャン・ベールが相変わらずの熱演。どうやってこんなに太ったんだ?
 原題の「VICE」は、単独では「悪」「悪習」「悪徳」などの意味だが、接頭語として「vice-president」とすると「副社長」「副理事長」および「副大統領」の意味。
 まだ思いっきり存命の人物をこれだけ想像も含めて作品に登場させるのがアメリカのすごいところ。日本では本当に考えられない。しかも、特に裁判沙汰になったわけでもないようだ。
 父ブッシュの時代に国防長官として湾岸戦争で名を上げ、そしてブッシュジュニア政権時代の911以降のアフガン、イラク戦争を主導したネオコンを代表する政治家だ。
 当時は日本から見ているとブッシュジュニア時代はアメリカの最悪の時代と思っていたわけだが、その後のトランプの登場によって、ブッシュもチェイニーもずっとずっとまともな政治家と思えるようになった。
 先のトランプ支持者によるバイデン政権への移行を妨害するドナルド・トランプ大統領の試みに国防総省や軍の高官が一切協力しないよう呼びかける歴代国防長官10人の共同声明に名を連ねている。
 ブッシュ・チェイニー時代に足を突っ込んでしまった対テロ戦争、アフガン、イラクの紛争がアメリカの国力と威信を奪い、アフガンからは惨めな撤退を余儀なくされた。アフガンから撤退するまでの20年間、中国共産党というモンスターを育ててしまい、アメリカ国内は分裂し、中国やロシアといった権威主義の前に民主主義はなすすべがないようにも思える。アジアでは民主主義は後退し、アフリカは経済的に中国に支配されつつある。
 愛国心を強調する共和党がむしろアメリカの弱体化に寄与してしまったのじゃないだろうか?
 作品としてはジョークも多いので気楽に見られます。トランプ政権やCovid19といろいろありすぎて忘れてしまっていた911前後のことを思い出させてくれる作品。事実に基づかない想像のシーンも多いようなので、あくまでコメディとして見た方がいいと思います。