石垣島から所想所説、徒然なるままに

沖縄・石垣島の話題を中心に、石垣島から見えること、思うことを徒然に。好きな映画のレビューや、自分が難儀しているアトピーの話題なんかも。

Philomena (film)2013  directed by Stephen Frears UK based on the 2009 book The Lost Child of Philomena Lee by journalist Martin Sixsmith.

 ジュディ・デンチがね。かわいいからなぁ。007「ゴールデン・アイ」のM女史だよ。クエーカー教徒らしい。
 邦題の「あなたを抱きしめる日まで」は賛否両論ありそうだけど、原題のPhilomenaでは日本人には理解不能なので仕方ないかな。
イギリスではベストセラーになった、10代で未婚の母となり、幼い息子と強制的に引き離された女性フィロミナ・リーの実話を綴ったマーティン・シックススミスのノンフィクション本『The Lost Child of Philomena Lee』を原作としている。

 日本人にとって欧米だったり、中東アラブだったりの作品で、本当に困るのが宗教が題材になっている作品だ。難しすぎる。たぶん、中世のカトリックを中心とした世界観を理解する必要があるだろうし、そこから宗教改革についても理解する必要があるんだろうと思う。宗教改革を理解せずに、アメリカの成り立ちを理解するのは不可能だろうし、ユダヤの問題や、中東、イスラムとの関係を理解するのも難しい。
 この作品はプロテスタントの人権をメインにした正義をベースにしているわけだけど、修道院側の論理についてはちゃんと説明しているとはいいがたい。歴史的に見ればイギリスのプロテスタントというのもかなり怪しい経緯があって、きわめて政治的だし、もっと言えば、王様の離婚問題がきっかけと言ってもいいぐらいだ。
 ここらへん、コテンラジオがいい解説をしてくれてた。中世ヨーロッパのキリスト教観も聞いた方がいい。

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 本作品については先行の「マグダレンの祈り」The Magdalene Sistersという傑作があるので、告発もののノンフィクションとしてはそこまでインパクトはない。ただただ、カトリック教会がいつまでも閉鎖的で、怖ろしくゆがんだ組織であることを伝える結果にはなっていると思う。
 日本ではどうだろうか? 多様性が実現せず、性差別が横行し、マイノリティが認められない。たぶん、欧米のように直視する勇気すらなく、ずるずると続いているのが日本社会だと思う。21世紀なのにね。やれやれです。