石垣島から所想所説、徒然なるままに

沖縄・石垣島の話題を中心に、石垣島から見えること、思うことを徒然に。好きな映画のレビューや、自分が難儀しているアトピーの話題なんかも。

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(字幕版) Trumbo film2015 America

冷戦の開始から1950年代前半にかけてアメリカで猛威を振るった赤狩りが背景となっている。あのチャップリンすら国外追放にした当時アメリカのマッカーシズムマッカーシー議員と非米活動委員会」。実力と人気を兼ね備えた脚本家だったトランボの人生もこれによって大きく狂わされていく。
 その経緯は本編を見て頂くとして、刑務所から出所後に偽名で書いた脚本がすごすぎる。
ローマの休日」「スパルタカス」「Exodus」などなど。
「Johnny Got His Gun」(ジョニーは戦場に行った)は1939年に書かれた原作小説だが、とにかく恐るべき才能で、こんな偉才を明確な証拠もなく起訴収監に至ったのだから、当時の赤狩りをポジティブに評価するのはムリだと思う。
 映画の中でも描かれるが、トランボの子どもたちが本当に可哀想で、下の子は3歳から父親の職業を隠したり、偽ったりしながら10年を過ごした、という。本当に悲劇。

 翻って日本でも、過去においてはもちろん、今でも現在の政治体制や政権に批判的な意見を述べると「反日」のレッテルが貼られて攻撃されることがとても多いように思う。右翼からみれば、政府の足を引っ張る利敵行為、という論理だが、自国に対する批判を述べるのは愛国心があるからこそだろうし、自分たちの社会をより良いものしたいというポジティブなものと考えるべきだろう。
 確かにトランボたちが信じた共産主義は結果的に強権的で人権抑圧的な社会しか生み出せず、ソ連や中国、北朝鮮をはじめ多くの独裁者を生み出し、あまりに多くの自由を求める人々を殺してきたのは事実だ。だが、トランボたちが生きた時代にはまだその結果を目にしていなかったわけだし、当時存在した格差をなくしたい、という理想そのものを全否定するのはいかがなモノかと思う。

 現代の世界で「共産主義」を代表しているのは間違いなく中国共産党だと思うが、この中共とトランボたちが信じた共産主義は全くの別物と言わざるを得ない。確かに中国の絶対的貧困層は劇的に減少したけど、資本主義の一部だけを取り出し、格差を拡大したり人権を抑圧する「中国特色社会主義」など、はっきりいって共産主義と資本主義の悪いところが集まった醜いモンスターでしかない。その中共は「大外宣」といってせっせと世界中に金をばらまき、間違った中国のイメージをまきちらし、味方を増やそうとしているが、これにひっかかって中共の片棒を担ぐのはあまりに愚かだ。今の日本で軽々しく「親中反日」というレッテルを貼って攻撃するのは厳に慎むべきだと思うし、中国人に対する偏見差別はあってはならないと思うが、同時に中共の民主国家に対する浸透は十分に警戒すべきだと思う。水源地を買収されたり、マカオの資本にカジノを建設させたりするのは、まさに売国行為で、外交に必須な「対等」な条件を中国資本や中国人に課すべきだし(つまり日本の国土を「所有」する権利を与えるべきじゃない)、カジノを推進するような中共に買収された政治家に対する監視の目は絶対に必要だと思う。
 
 話がかなりそれてしまったけど、負の歴史を掘り起こして見せてくれる良作だと思います。

 

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(字幕版)

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(字幕版)

  • 発売日: 2017/05/10
  • メディア: Prime Video