石垣島から所想所説、徒然なるままに

沖縄・石垣島の話題を中心に、石垣島から見えること、思うことを徒然に。好きな映画のレビューや、自分が難儀しているアトピーの話題なんかも。

「別離」2011年イラン映画 「A Separation」

※ミステリーなので、ネタバレ含みます。 いやぁ、地味な映画なのに、画面への吸引力がすごい。台詞のひとつひとつもきちんと観ていないと、後から伏線になっていたことに気づかずに観てしまいそうだ。 残念ながらイランには行ったことがないし、イスラム圏の…

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ Exit through the giftshop

バンクシー。名前は知ってても実際にはほとんど作品見たことがなかった。ストリートアートに対する知識も乏しい。そんなぼくが観ても面白かった。これがドキュメンタリーというのがすごい。編集の力、というべきが視点の素晴らしさというべきか。もちろん、…

八重山観光を支える運輸・旅行業各社の株価をまとめてみた

半年前からの下落率を見てみる。一部は持株親会社の株価だ。5月15日付 2020年4月25日撮影 まずは国内航空会社から JAL 2019年11月15日 3,333 JPY → 2020年5月15日 1,806 JPY 約46%の下落 ANA 2019年11月15日 3,745 JPY → 2020年5月15日 2,314 JPY 約3…

2ヶ月後、八重山の雇用状況はどうなっているのか?

新型コロナウィルス感染拡大の影響により、4000人が失業!? 「沖縄県は3日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で~(中略)~観光収入は1166億8千万円の損失で、1万9402人の雇用が失われる可能性もあるという。」(沖縄タイムス4月4日付記事より)…

わたしは、ダニエル・ブレイク I, Daniel Blake by Ken Loach (字幕版)ケン・ローチ

ただの左翼のプロパガンダ映画じゃない。社会の包摂力を問う良作。 まず、イギリスを昔の教科書に載っていた「ゆりかごから墓場まで」の福祉国家のイメージで語っているレビューが散見されるけど、サッチャー以降の新自由主義のイギリスをぜんぜん理解してい…

「ザ・ボーイズ シーズン1」 (字幕版)

早くシーズン2が見たい! いろんなところで絶賛されているだけあって、マジで面白い。ブラックでヒーローたちもかなり残虐なので、子どもにはおすすめできないけど。アメリカンヒーローものはそんな熱心に観てるわけじゃないけど、基本となっているお約束と…

「運び屋」(字幕版)クリント・イーストウッド

さすがのイーストウッド。 基本、コメディでした。密売組織の監視役とのやりとりなんかはかなり笑える。ラストに向かってサスペンス的に展開するのかと思いきや、最後は家族の物語り。振り回される密売組織がかわいそうなぐらい(笑)。それにしもてイーストウ…

「82年生まれ、キム・ジヨン」82年生的金智英 (単行本)チョ・ナムジ

あまりに話題になっているので購入してみたら、一気に読了。男性読者です。とても読みやすい良書だと思いました。 韓国についてはドラマもそんなに観ないし、K-POPもほとんど興味ないし、ネトウヨの嫌韓にはうんざりしている。ましてや政治家どものくだらな…

「世界侵略のススメ」 マイケル・ムーア

Where_to_Invade_Next 良作でした。ところどころで泣きそうになりました。ノルウェーの刑務所システム。人権に基づいて、愛と希望を教えることが再犯防止になり、社会に与するということ。チュニジアの女性運動。イスラム諸国に対しては、どうせ女性蔑視の遅…

「The Big Short(マネーショート)」映画

邦題はマネーショートという意味不明になっているけど、Shortに張るという逆張りの英語からきてる原題。 サブプライムローンから起こったリーマン・ショック&金融危機の際に、逆張りで大儲けした5人が主役になっている。ショートを引き受けて売り出すのも…

「インド アズ ナンバーワン」榊原英資

中国がアメリカを超え、その中国をインドが超える、と予測されている未来の超大国。同時に過去において産業革命以後のヨーロッパが台頭する以前、中国とインドは一貫して世界のトップ2の経済大国であった。 とまあ、この本を読む前からこれぐらいの知識はあ…

「植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム」 ステファノ・マンクーゾ、アレッサンドラ・ヴィオラ、マイケル・ポーラン 他

原題「Verde Brillante: Sensibilita e intelligenza del mondo vegetale」。2015年出版。 ブロックチェーン、ネットワーク型思考システム。植物を考えるとき、いま、注目されているシステムとの関連性がとても高いように思う。この本の中で示される植物の生…

アトミック・ブロンド(字幕版)2017年

シャーリーズ・セロンという稀有な女優の魅力満載のアクションムービー。MadMaxのFury RoadでFuriosaを演じ、圧倒的な存在感を発揮。これでやられました。本作はセロンのマーシャルアーツがリアルで、スタントなしという点で話題を呼んだみたい。まぁとにか…

「宇宙よりも遠い場所」アニメ

女子高生じゃないけれど、、、。 自分は40歳すぎのおっさんなわけだけれど、泣いてしまった。4人の女子高生それぞれが抱えてる悩みや葛藤、思いが南極への旅を通して昇華していく。そこには確かな仲間たちの支えがあった。失敗を恐れて新しい一歩を踏み出…

「曼荼羅の人 空海求法伝」 陳舜臣

密教とはなにか。「華厳思想のあと、仏教の最後の形として密教が現れたのは、インドの仏教人の反省が基本になっていたのだ。民間の信仰を離れることによって、インドうまれの仏教は世界宗教となった。ところが、それによって土着性をも失ってしまったのであ…

「四畳半神話体系」森見登美彦

アニメ映画化で話題になった「夜は短し歩けよ乙女」の著者の長編デビュー2作目。ぼくは「夜は短し歩けよ乙女」を目の手術のあとにオーディブルで鑑賞、素晴らしかった。この著者の文章のリズムの良さ、この作品のテンポの良さ、クライマックスに向かって盛…

「低欲望社会」 大前研一

副題に「大義なき時代の新・国富論」とある。大前研一の別の本でも書かれている提案も多くあったけど、相変わらずの素晴らしさ。日本の債務問題と少子高齢化問題に対する危機感、それに政治家・官僚の利権と規制でのがんじがらめに対するいら立ちがひしひし…

「夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)Audible版」 森見 登美彦 (著), 安國 愛菜 (ナレーション)

オーディブルで鑑賞。 アトピー用のステロイド薬のせいで緑内障になり、目の手術のあと、オーディブルで鑑賞。素晴らしかった。この著者の文章のリズムの良さ、この作品のテンポの良さ、クライマックスに向かって盛り上がっていく構成の素晴らしさ、そして声…

「元号の還暦」陳舜臣

久しぶりに著者の本を読んだ。「三燈随筆(一)」という副題が付いている。著者自身あとがきで「世間話ふうに書こうと」したというとおり、肩の力の抜けた読みやすい随筆。だけど、中で披露されている日本・中国を中心とした歴史に対する博識ぶりは、流石の…

「明恵 夢を生きる」河合 隼雄

仏教の知識がなくても読みやすい。 以前自分が学生時代・思春期の頃にたくさん河合隼雄先生の著作を読んでいたのでユング派心理学の基礎や河合先生の基本的な考え方にすんなり入っていくことができた。また白州正子さんの明恵上人の評伝と併せて読んだことで…

「中国語基本語ノート」 輿水 優

古くても内容がすばらしい!中国語を学ぶってこういうことだよなと。発音、会話が難しいからどうしてもおざなりになりがちだけど、これぐらい字義や用法、ニュアンスをきちんと説明してくれると読み応えがある。各単語ごとに時間のあるときにコラムを読むみ…

「この国を出よ」 大前 研一 (著), 柳井 正 (著)

正論だけどさぁ。なんだかなぁ。 もう8年前の出版。グローバルマッチョ二人が交互に持論を述べるスタイル。内容は細かい具体的なデータに基づくようなものではなく、総論概論といった感じで、日本の危機を訴え、それを変えるための提言集といった趣だ。その…

「私家版 日本語文法」井上 ひさし

もっともっと長生きしてほしかったなぁ。 訃報を聞いた後にふと読み返しました。とにかく楽しくてためになる。ぼくはこの本と著者の「文章読本」で夏目漱石の偉大さを理解したかもしれません。それに、この時代の作家さんたちの日本語がとても好きです。この…

「そうだったのか! 中国」 池上 彰

偏りのなさが素晴らしい。 右にも左にも偏りすぎていないのが素晴らしいと思います。全ての日本人と中国人に読んでほしい気がします。日本人にとってはこの程度の知識は感情論で日中関係を語る前に必要だし、中国人に対しては自分たちの政府が外からどういう…

「中国語会話パーフェクトブック」 味園 由美 (著), 劉 暁君 (著)

シャドウイングにいいはず。 初めて手にしたときはCDのスピードが速すぎて大変だったけど、ひたすら聞いてシャドウイングしていると、聴力アップにかなり効果があったと思います。実際に今現在、中国に留学中ですが、出てくる文型や単語も口語としての使用頻…

「キャンセルされた街の案内」吉田 修一

吉田修一ファンなら、後ろから2番目の「灯台」が入っているだけでも買いだと思います。17歳のぼくと37歳の自分が語りあう。ありえない状況なのに、とてもリアル。ほかの収録作は・・・。ぼくはタイトル作は地縁があるからけっこう面白かった。 ぼくが思うに吉…

「悪人」  吉田 修一

素朴であること、ひとに真面目であること、悪人。 なぜ吉田修一さんは「いま」を生きる人たちの心をこんなにもうまく描けるのだろう? この高度情報化社会の中じゃいろんな「意見」やら欲望すべき「情報」やらが垂れ流されているけど、そんなものに興味も関…

「希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学」 池田 信夫

斜陽=成熟社会という幻想。 バブル崩壊のあとから「日本は斜陽国家だ、あとはうまく成熟するしかない」みたいな議論は出ていたはずだけど「成熟」することにも日本は失敗しちゃったんだなぁと教えられました。五木寛之さんだかが「“諦める”は明らかに知るだ…

「日本史を読む」丸谷 才一 (著), 山崎 正和 (著)

ヒストリカル・イフは楽しい。 歴史の教科書じゃなかなか出てこない内容が続々登場して楽しい。「政治的手法としての男色」とか小題をみても今まで知らなかった事実が盛りだくさんでした。 そういうトリビア以上に面白かったのが、歴史的事実の必然を語るよ…

「二十世紀を読む」 丸谷 才一 (著), 山崎 正和 (著)

読みやすくて奥が深い。 まずは二人の知識の幅の広さに圧倒される。会話の端々に「このテーマを掘り下げたらどうなるんだろう?」という内容が隠されていて、考えるきっかけをたくさん持った対談だと思います。 オススメは「近代日本と日蓮主義」。対談時に…